アングレカム-Angraecum Leonis-

第六話花火大会前日〈男子3人の休日後編〉



 約二時間後。放映を終了し、かずきとたいちとりゅうのすけは面白かったなどと感想を言い合いながら劇場から出て来た。

「ラストが結構好きだったわ」

 りゅうのすけはそう言いながら、パンフレットを見ている。

「俺は途中であった出来事も結構好きやで」

 たいちはそう言い、残ったポップコーンをつまむ。

「最初から最後まで楽しめたわ」

 かずきはそう言って、ペットボトルのお茶を飲む。

 劇場すぐ近くにあるゴミ捨て場にゴミを捨てて三人はそのまま時間が余ったのでゲームセンターへと向かう。

 ゲームセンターに行くと、りゅうのすけは颯爽とガンダムのゲームをしに急ぎ足で向かったので、仕方なくかずきとたいちはエアホッケーで遊ぶ事に。

 二回戦して、一回戦目にたいちが勝ち、二回戦目でかずきが勝ったので、決着を付ける事に。

「めちゃくちゃええ勝負やん! かずき! これ勝った方になんかジュース奢るとかしようや!」

「いいよ! よし、何飲もうかな」

「うざ! もう勝つ気でおるやん!」

 そうしてお互いにジュースを賭け、二人で100円ずつをゲーム機へ投入してゲームを開始する。

 カーン! カーン! と聞こえの良い打撃音を三十秒ほど鳴らし続けながら、かずきが一ポイントを先取して行く。

 そのすぐにたいちが一ポイントを返して取る。またかずきが一ポイント。そしてたいちが一ポイント……。

 気がつくと点数差は十対十の同点対決になっており、互いに緊張感を高めていた。
 しかし気がついた頃にはゲームは終了している。だけれどまだエアホッケーのゲーム台の上にはホッケーが残されている。

 そしてそれを持っているのは……かずきだ。

「これ決めた方が勝ちって事で!」

「よっしゃ、来い!」

「ジュース、貰ったぁ!!」

 卓球で言うところのスマッシュの如く打ち出されたホッケーは物凄いスピードでカクカクと壁に当たりながらも、たいちのゴール目掛けて突き進んで行く。

 然し乍らもゲームは終了していて、ゲーム機本体から本来出ているであろう、エアホッケーのスピードを増す効果をもたらす風は吹いていない。そのため徐々に徐々にとスピードは殺されていく。

 たいちは見事にキャッチして、そのまま手で地面を擦る様に、手裏剣を投げるかの如くそれをかずきのゴール目掛けて打つ。

 しかしそれをかずきもキャッチ。すぐさま打ち返したため、最後は呆気なくたいちのゴールへと入ってしまう。
 
「うおぉおっ!! くそぉ〜!! 俺の負けや!」

「よっしゃぁ!!」

 そしてそのままお互いに良い勝負であった事を称え合いながら近くにあった自動販売機にて、かずきは勝利のジュースをたいちに買ってもらった。

 その後ガンダムのゲームを終えたりゅうのすけと合流し、三人はマリオカートで3人対戦し、またまた良い勝負を展開させながら、最後にたいちが勝ち、3人で談笑しながら各々ジュースを飲んだ。

「あそこでたいちくんの最後のこうらが飛んで来なければ……」

 かずきは悔しそうに拳を握る。

「ふっふーん! やっぱマリカの赤こうらは最強よ!」

 たいちは嬉しそうに笑っている。

「お陰様で最終的に最下位で終わらずに済みました」

 りゅうのすけはどこか遠い目をしながら仄々としながらMonsterを飲む。

 その後またしばらくゲームセンターで遊んだ後、そろそろいい時間だったのでそろそろ帰ろうかと言う事で三人で帰宅路につく事に。

「あ、そういや、明日明後日と花火大会やな」

「そうやなー。みんなで行く予定立てたけど人多そうやからバラバラになりそうやんな」
「明日どうするんや? かずき」

「二日間もやる上に、他県からも人来てるらしいからな。人の数はエグそう。はぐれたら一巻の終わりやな」
「うーん、明日は……どうしようかなぁ」

「あ、明日からか。花火大会。」

「りゅうくん……お前また忘れてたんか。大丈夫か? 記憶障害になって来てるんやないか」

「いや、なんか花火大会がある事とかは覚えてるんやけど、いつだったかは覚えてないんよな。もっと近くになってから教えて欲しい」

「1ヶ月近く前から言ってたしな」

 かずきはそう言いグミを食べる。

「そうそう。せめて一週間前に……あ、俺昨日か一昨日くらいにさくちゃんと会ってその時に花火大会の話してたわ」

「ほら〜。てか単にゲームしてて忘れてただけじゃね。お前実はそんなに興味無いやろ、花火大会」

 たいちはそう言いながら、かずきからグミを一つ貰い食べる。

「うん。実はそんなに興味無い。たこ焼きと前にひろあきが言ってたひろあきデザインの花火を打ち上げるって話は覚えてるんだけどな。いつやるとかは覚えてなかった」

「さくちゃんと、もうすぐだねとか話さんかったん?」

 かずきはグミを噛みながらりゅうのすけに問う。

「ううん、話してない。俺が初めて花火大会に行くって話したくらい」
 
「逆に行った事ないのもすごいと思うけどな……」

 たいちは苦笑する。
 何故今の今まで花火大会に行った事が無かったのか。
 不思議でならなかった。

 花火大会前日の今日。りゅうのすけはやっと明日と明後日に花火大会が開催される事を知った。
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