アングレカム-Angraecum Leonis-

第十一話花火大会1日目〈まやとひろあき〉



 まやとひろあきは屋台をある程度楽しんで、近くの河川敷の階段で休憩がてら話をしていた。

「あぁー。りゅうくんと回ると思ってたのにまさか女子と回る事になるとはなぁ」

「なに? もしかして嫌やったとか?」

「ううん、いやいや! そう言うわけじゃないよ。新鮮で面白いし! 今まで女子と話した事はあっても、二人きりで過ごすなんて事はなかったからね。付き合ってるわけじゃないけど、色々と緊張するし? でも相手がまやちゃんで良かったよ。安心して楽しめた」

「それは良かったです。うふふ」

「はぁー。後はみうちゃんとりゅうくん二人がどうなるかが気掛かりだなぁ」

「そうやね。みうちゃんはりゅうくんの事めちゃくちゃ好きって感じだけど、りゅうくんがみうちゃんの事どう思ってんのかって感じだし」

「二人とはこれまでずっと幼馴染として過ごしてきたけど、りゅうくんがみうちゃんの事をどう思ってるとかは俺視点で考えた事無かったなぁ」
 
「まぁ、そうよね。逆にあっきーはみうちゃんの事好きやないの?」

「ん? うん全然……ってそんな言い方したら悪く聞こえるな。俺にとったら二人は兄弟みたいなもんでさ。ずっと一緒に過ごしてる家族みたいでさ。幼稚園の頃からずっと一緒だから余計にかな。だから、俺はそういう風に考えた事も思った事も無いんよ」

「そっかぁ。確かにね、私らから見ても三人一組みたいな感じやもん。私は高校で君らと知り合ったから昔の事は正直あまり知らないけど……でも見てて分かる。ずっと仲良く過ごして来た兄弟みたいな感じってのは」

「出来ればこれからも三人で仲良く過ごして行けたらいいんだけどな。結果がどうなったとしても」

「りゅうくんは出来そうな感じがするけど、みうちゃんがどうかなぁって感じ。第三者からの視点だとね? 二人の考えてる事や思ってる事を100%理解出来てる訳やないから詳しい事は分からないし。本当にこれから先どうなるかは分からないけど、見てる感じだとそんな感じ」

「それは言えてると思うよ。でも多分だけど、俺がみうちゃんの想いを知ってからりゅうくんを見てきた限りだと。ハッキリ言ってりゅうくんはみうちゃんに対して興味が無いと思う」

「そだね。それは私も思う。みうちゃんが追ってて、りゅうくんが追われてる感じ」

「なんか、別の何かに興味がありそうなんだよ」

「別の何か? ゲームとかじゃないの?」

「いや、ゲームはいつも通り興味津々で色んなゲーム買ってやったり、いろんなソシャゲしたりってしてはいるけど、その興味とはまた別な感じがして」

「……それってつまりりゅうくんには他に好きな人がいるかもしれないって事?」

「……結論を言えばそうなる。」

「……えぇ! 誰だろ。……気になるなぁ!」

「俺も流石に分からなかった。でもそれをみうちゃんに伝えて、諦めさせるよりも。みうちゃんに挑戦をして、挫折する事で成長する事も大事なんじゃないかと思って。あの子はりゅうくんにこだわり過ぎている。そして、りゅうくんに執着し過ぎている」

「あっきーってすっとぼけた顔してる割に、妙に鋭かったり、たまに厳しい事言うよね」
 
「……すっとぼけた顔してるつもりないけど……? それに厳しいつもりはないよ、俺なりにみうちゃんを想っての事だし」

「うん、分かってるよ。あっきーなりの優しさって事は。いいと思うよ。教える事よりも、自分で知って学ぶ事の方が大切だと私も思うし」

「うん、ありがとう」
 
「ところであっきーとなおちゃんデザインの花火って今日打ち上がるの?」

「ん? いや、明日だよ。今日はあくまでも余興みたいな感じで打ち上げる花火ばかりらしい。派手な花火とかは全部明日の本番に打ち上げるんだって」

「へぇー、そう言えばそんな感じに去年も打ち上げてたかな。明日も来るかぁ」

「みんなで見れたらいいな」
 
「そうだねぇ。あ、どんなデザインにしたの?」

「それは流石に明日のお楽しみだよ」

 花火大会一日目の花火が打ち上がるまで後少し。まだまだ明日があるのに、もう終わりそうな感じがして少し物悲しい時間をひろあきとまやは過ごしながら花火を見る場所へと足を運んだ。
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