アングレカム-Angraecum Leonis-

第十四話花火大会1日目〈さつきとるい〉



 河川敷から見えるにとんでもない数の屋台があるように思える。

 そんな光景を見て、凄いと思いながらるいは苦笑する。

 さつきは、ワクワクしながら河川敷の階段へと向かう。

 るいはさつきの前を歩きながら、さつきと「とりあえず何食べたい?」なんて話をしながら歩く。

「いちご飴食べたい!」

 そう言いながら駆け足で階段を降るさつきは、慣れない下駄にバランスを崩し、転けそうになってしまう。幸運にも目の前にいたるいがそれにいち早く気付きさつきを抱き抱えるようにキャッチ。

 急な出来事過ぎたので、るいは上手く綺麗にキャッチする事は不可能であった。両脚でさつきの体重を支えながら、「うぉおぉ!?」と変な声を上げる。

 さつきはゆっくりとバランスを整え、階段の上で立つ。るいに陳謝しながら顔を赤らめる。

「ご、ごめんね! ほんとごめん! るいくん、大丈夫!?」

 さつきは頰を赤らめながら、顔を横に向けて、まともにるいの方を見ずにそう訊く。

「う、うん。大丈夫……大丈夫……!」

 るいも視線を逸らしてさつきの顔を見ずにそう返す。

 そのまま少し気まずい空気の中、階段から降りていちご飴の屋台へ向かう。

(手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった。手に胸当たった)

(あー、いきなりやらかした!! る、るいくん……怒ってへんかなぁ……)

 さつきはすぐ様屋台を見つけ、いちご飴を購入して、それをひと舐め。
 
「あれ、るい君はいらんの?」

「え、あ、あぁ。うん。大丈夫」

(るい君やっぱ怒ってんのかな……)

(手におっぱい当たった。手におっぱい当たった。手におっぱい当たった。手におっぱい当たった。手におっぱい当たった。手におっぱい当たった。手におっぱい当たった。手におっぱい当たった。手におっぱい当たった。手におっぱい当たった。手におっぱい当たった。手におっぱい当たった。手におっぱい当たった。手におっぱい当たった。手におっぱい当たった。手におっぱい当たった)

「るい君お腹減ってへん?」

「んー、うん。あんまり」

「そっか。なんか食べたいものあったら言ってよ? 色んな屋台あるしさ?」

「うん。ありがと……」

 いちご飴を食べ終えたさつきは次にたこ焼きを購入。

「るい君も食べる?」

「え?」

(おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい)

「……? るいくん? どうしたん?」

「えっ!? あぁ、食べる食べる。ボクも買ってくるよ」

「いや、私の食べていいよ。ほら、アーンしてあげる」

「えっ」

(おっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱいおっぱい)

「はい、アーン」

「あ、あーん……んぐっ。って熱っ! はふはふっ、ふー!」

「ははは!! るい君おもしろ!!」

「ふぁふぁ……はふはふ……もぐもぐ……ゴクンッ……ふぅ」

(落ち着け……落ち着け……落ち着け……)

「あ、はふはふ。ほんま熱いなこれ! ちょー、飲み物買いに行こ!」
 
「うん。あ、あそこに自販機あるよ」

「あ、ほんまや」

 自動販売機でペットボトルのお茶を購入し、それを飲み、口の中を冷やす。
 るいは頭の中も冷やす。
 
「いやぁ、たこ焼き熱かったなぁ! でも美味しい」

「うん。確かに。もう一つ食べていい?」

「うん、いいよ」

「今度は自分で食べるから、貸して」

「ふふ、私もアーンってすんの恥ずかしかったから、良かった」

 照れ臭そうにそう言いながらさつきはるいにたこ焼きの入っている容器を手渡す。

 それを受け取り、静かにお茶を飲みながら食べる。やっぱり美味しかった。

(……フゥ〜……心頭滅却すれば火もまた涼し……)

「……ね、るいくん。さっきはほんとごめんね。いきなりやらかしてもて」

「……ん? なにが? ……あぁ、いや、全然。気にしてないし!」

「そ? ほんま? なら良かったぁ!」

 さつきの笑顔を見て、るいは頭の中を空っぽにしようと心の中で誓った。
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