アングレカム-Angraecum Leonis-

第十九話花火大会1日目の終わり



 かずきが指定していた場所は、実は花火大会の数日前に全員で一度立ち寄って場所の確認を行っていたので、そこへ集う者達は迷わずにその場所へと集って行っている。

 時刻は午後八時と少し前。まきとあきせ、それにさくらとせいじ、みうとりゅうのすけ、まやとひろあき、さつきとるい、ひなとせいや達がゾロゾロと集っている。

「あれ、かずきくんとなおちゃんは?」

「ほんまや、まだ来てない。でもそろそろ花火始まるで」

 まきとひなが辺りをキョロキョロと見渡しながら二人を探す。

「たいちくんとはるかちゃんも来てないよ」

 さつきはそう言いながら、りんご飴を舐めている。

「ゆうかちゃんのくうどうくんは、迷子保護して、その子が離れたがらんから、一緒に居てあげたいみたいな事言ってたな」

「ゆうかちゃん、くうどうくんいい子かよ」

 まやの話を聞いて、さくらは軽く感動する。
 
「なんかそれくうどうくんが言ったらしいよ」

「そうなん? あの人りゅうくんとは違った意味でクセ強いキャラしてるから意外」

「さっちゃん結構辛辣……。でもあの人ら二人とも似てるとこあるよな。でもどっちも根は凄くいい子。だからみんなあの二人の事好きなんやろな」

「そだね。まきちゃんの言う通り二人ともとても良い人。さくらもみんなにいい子って思われてるのかな?」

「さくちゃんがいい子じゃないわけないやん?」

「てか、いい人ばっかの集まりやからみんな居心地ええんやで! ひな含めみんないい人!」

「お姉さんもいい子ばっかで毎日癒されてます……」

「まや姐さんもいい人やで」

「ひなちゃ、いや、さとみ……ありがとう」

「とりあえず、かずきくんなおちゃん、たいちくんはるかちゃん辺りはカップル(仮)からカップル(正式)になるんかな?」

「いやぁ、さっちゃん。それはどうかなぁ?」

「どんなになろうと、またみんなでこうやって花火見に来たいね。さくらはみんなとだから楽しかったと思ってるから」

「そうやなぁ。さくちゃんの言う通りやで」

 たこ焼きを食べながら、花火が打ち上がるのを待つりゅうのすけは、背後にいるみうの存在に気付かず幸せそうにたこ焼きを食べる。

「……モグモグモグ……。うまぁ」

(……りゅう……今のりゅうに対して……この想いを告げる勇気が……私には……どうしても………………無い…………)

「……りゅうくん、たこ焼きいつまで食べてんの?」

「お、ひろあき。丁度良い。ほれこれお前の分」

「あ、ありがとう! まさか俺の分買ってくれてたとは……ありがたくいただきます!」

「今年も俺の恋の花火はうち上がらんかったか……」

「来年には打ち上がるかもよ?」

「せいじ、お前もな?」

「せいや。せいやには俺らがおる」

「ええやっちゃな! お前は!」

(……私の恋も打ち上げに失敗に終わりそうだな……)
 
「まぁ、でも今年中に打ち上げたいもんやでな」

「せいやなら大丈夫やろ」

「ほんとほんと、せいやくん、怖いけど優しいから大丈夫だよ」

「りゅう。怖いは余計や」

「絡んでみたら楽しくて優しいやつやからな」

「おう、あきせ! せやろせやろ? ……てか、絡んでみたらってそれ見た目怖いって事かいな!」

「……まぁ、見た目ヤンキーやし……」

「るいコラ!誰がヤンキーや!」
 
「他にもチンピラと売れないホストってあるけど、どれが良い?」

「る、るい……お前そろそろ俺の事嫌いやろ……」

「いや、そんな事はないよ」
 
「ならこれはどう? どうもインキャ代表です」

「よう言うわ!」

「あきせ、認めてくれてええんやで?」

 そんな風に適当に駄弁っていた時、空がパッと光り、辺り一面を明るく照らした。

「お、打ち上がった! 綺麗やなぁ!」

「ほんまに!」

 十数分花火を見て、花火を見ながら彼らはまた話を再開し始めた。

「カップル生まれるかね?」

 まきは箸巻きを食べながら呟く。

「どうかな?」

 さつきはたこ焼きを食べながら聞き返す。

「ワクワクもドキドキもするなぁ」

 まやはイカ焼きを食べながら呟く。

「まぁ、告白して上手くいく可能性もあれば、失敗する可能性もあるからな。でも二人で見たいって誘いにどちらかが乗ったって事やろ?」

 あきせはお茶を飲みながら話す。

「失敗する可能性とかは極めて低いんやない?」

 ひろあきは冷静にそう言う。

「うん!さくらもそう思う!」

「やとええなあ」

「たぁ〜〜まぁ〜〜やぁ〜〜!!」

「お、ひなちゃん! うちも負けへんで! たぁ〜〜まぁ〜〜やぁ〜〜!!」

「なんの勝負なんこれ」

「花火テンションやろ」

 せいじとせいやは笑いながらカステラ焼きを食す。

「ははは!!」

 さつきは楽しくやってただただ笑っている。

「りゅうくんはいつまでたこ焼き食ってんの?」
 
「あ、るい君も食べる? あーん」

「いや、ええてええて! んぐっ、モグモグ。……うま」

「うへへ! うまいやろ」

「りゅうくんは相変わらずマイペースやな」

 あきせは微笑みながらツッコミを入れる。

 花火を見ながら、みんなを見て、さくらは心の中で(みんな楽しそう。また明日も楽しくなるかな)と思いながらまた一つ打ち上がる巨大な花火に声を大にして興奮気味に釘付けになる。

 また明日も楽しく過ごせますように。

 ここにいるみんな、ここにいないみんな。それぞれは花火を見ながらその想いを同じにして、まだまだ打ち上がる花火を見ていた。
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