アングレカム-Angraecum Leonis-

第二十一話花火大会二日目の昼〈アンパンマンの友情〉



 アスファルトの上に陽炎がゆらめいている中、二日目の花火大会の昼を迎えた。

 さくらは、弟のりくと一緒にお昼ご飯を食べながらアンパンマンを鑑賞している。

 さくらの作ったナポリタンを美味しそうに食べながら、りくは楽しそうにアンパンマンを見ている。その内に、りくは食べる事を忘れ、アンパンマンに夢中になってしまう。

「ほら、りく。スパゲティ出来たよ」

「うぉおぉ!! アンパンマン! アン! パン! マン! lets go‼︎ アン! パン! マン! lets go‼︎ アン! I Love AMPAMMAN……!!」

「この子、アンパンマンの事になるとなんでここまでアツくなれるんだろ……りく? アンパンマンも大事だけど、ほらアーン」

「あーん。もぐもぐ。アンパーンチ!」

 そう言いながら食べていた物を少し口から零す。さくらは「もう! ほら、ちゃんと食べて! でないとアンパンマン消しちゃうよ?」と言いながらりくにまたナポリタンを食べさせる。

 そう言うと素直に聞いたのか、りくはアンパンマンを静かに視聴しながら再度ナポリタンを食べ始める。

 黙々と食べながら、さくらと一緒に観るアンパンマンが好きなりくは興奮し切ってしまっていたようだ。

 静かにしながらナポリタンを食べ終え、食器を置いたままにして、りくはテレビの前に行きアンパンマンに没頭する。

「そんな近くで観ると目、悪くするよ」

「アンパンマン! そこだー!」

「……聞いてない……」

 アンパンマンを観終え、さくらは食器を片しに台所へと向かう。
 食器を洗いながら、「そう言えば今日の花火はひろあきくんとなおちゃんのデザインした花火が打ち上がるんだっけ」と呟き、思い出す。

 今日もみんな行くのかな。
 そう考えながら洗い終えた食器を拭いて行く。

 食器を片し終え、リビングに行くとアンパンマンのぬいぐるみを持って遊ぶりくを見る。

 微笑みながらさくらはりくに「ね、今日ショッピングモールでアンパンマンショーあるんだけど、りくも行く?」と問う。

「え! 行く! 行く!」

 目を輝かせながらそう言うりくの頭を撫でながらさくらは「よし、じゃあ行こっか」と言い、母の部屋へと向かう。

「ママ、ちょっとりくとショッピングモールのアンパンマンショー行ってくるね」

「ん、わかった。気をつけて行ってきなさいよ」

「うん。分かってる!」

「そう言えば今日、花火大会行くの?」

「うん、行くつもりだよ」

「りょーかい。ママとパパもりくを連れて行くからそれまでには帰って来てね」

「はーい」

 そのまま自部屋へと行き、さくらは部屋着から私服に着替え、りくを連れてショッピングモールへと向かった。

 ショッピングモールに着く頃には午後一時半になっていた。アンパンマンショーの時間は午後三時からだった。

 それまでの間、時間があったので適当にフードコートへと暇つぶしに向かう。

 するとそこに見覚えのある人が居た。少しずつ近付いて、誰かを確認すると、くうどうだった。
 くうどうの横には見覚えの無い女の子がいる。

「くうどうくん? やっぱくうどうくんだ! こんにちは、こんなとこでなにやってるの?」
 
「おう、さくちゃん。こんにちは、ほらかんな、挨拶」

「こんにちは!」

「こ、こんにちは……可愛い……え、なにこの可愛い生物は……」

「こんにちは!」

「おう、りく。今日も元気やな」

 りくの頭を撫でながら、ニコニコと笑うくうどうを見て、ボォーっとしていたさくらはそのままかんなの顔を見て、くうどうにかんなの存在を問う。

「……ところでこの子はどうしたの? くうどうくん、まさかの隠し子?」

「んなわけあるかい! まぁ、いやぁ、実は……さ」

 頭を抱えながら説明をするくうどうの話を一つ一つ丁寧に聞き取り、さくらは美味しそうにアイスを食べるかんなを見て、「そっか」と一言だけ呟く。

「そういや昨日迷子を保護したとかそんな話が回ってきたような」

「そうそう。そういうことや。そういやさくちゃんは、これからなんか予定あんのか?」

「うん、りくと一緒にアンパンマンショーを…… 」

「アンパンマン!? え、観たい! かんなも観る! くーどー! 観に行こ!!」

「お、おう。良いけどよ。さくちゃん、それって有料のやつ?」

「ちがうちがう。無料だよ。ショッピングモールの夏休み恒例イベントのやつ」

「あぁ、あれな。よし、行くか。かんな」

「やった!!」

「君もアンパンマン好き?」

 りくがかんなに近付きそう問いかける。

「うん、かんなアンパンマン好き!」

「ならこれ教えてあげる」

「んぇ?」

「うぉおぉ!! アンパンマン!
アン! パン! マン! lets go‼︎ アン! パン! マン! lets go‼︎ アン! I Love AMPAMMAN……!!」
 
 かんなはりくのアンパンマンコールにポカンとした表情をした後、コールを教えてもらい二人でその場を駆け回る様にコールを始める。

「うぉおぉ!! アンパンマン! アン! パン! マン! lets go‼︎ アン! パン! マン! lets go‼︎ アン! I Love AMPAMMAN……!!」
 
 気が付いたらくうどうも混ざって三人でアンパンマンコールを楽しんでいた。

 その後、さくらとりくは、アイスを購入する。くうどうとかんなもアイスを購入。四人はアイスを食べながらアンパンマンショーへと足を運んで行った。
 着いた頃には丁度いい時間帯になっていた。

 一時間半程した後アンパンマンショーを観終わり、りくとかんなの拙いアンパンマントークを聞きながらさくらとくうどうはこの後の二日目の花火大会の為、一旦帰宅路へと着く。

 りくとかんなの「花火を一緒に観に行こう」という約束を果たす為、さくらとくうどうは急遽一緒に花火大会を観に行く事となった。
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