アングレカム-Angraecum Leonis-
第二十二話花火大会二日目の昼〈幼馴染〉
花火大会二日目の昼だというのに、会場である神社や河川敷辺りの人々は昨日の夜と比べれば人数は少ないものの、かなりの人々で賑わっている。
今日の夜に遂に自分のデザインした花火が打ち上げられる、と胸を躍らせながらひろあきは、自宅から歩いてりゅうのすけの家へと向かっていた。
自宅からりゅうのすけの家はとても近いため、そんなに掛かる距離というわけでも無いので、なんとなしに向かう。
インターホンを押し、いつも通りにりゅうのすけを呼び出し、りゅうのすけに家へ上がれと言われて「おじゃまします」と一言零し、そのままりゅうのすけの部屋へと上がって行く。
りゅうのすけの部屋に置いてあるソファに腰掛け、クーラーの風に癒される。
しばらくするとりゅうのすけの母がお茶を用意してくれたので、お礼を言いながらお茶を頂く。
りゅうのすけはひろあきを部屋に上げた後、先にトイレを済ましに行っていた。
母親が部屋から出て行って少し経った後に部屋に戻って来る。
りゅうのすけはそのまま、テーブルの上に置いてあった自分のスマホを手に取り、荒野行動を開いて、話をしながらひろあきとゲームを始める。
「さぁ……ってと。ひろあきおめえ、今日こそ三十キルしろよ」
「えぇ……出来るかな」
「出来るかどうかじゃねえよ。やるんだよ」
「どっかのマンガのセリフか」
「んまぁ頑張るわ」
「……ところで、今日だっけか」
「ん? 花火?」
「そうそう」
「そうだよ」
「それまでに十五キルはしろよ」
「俺最近の最高十二キルなんやけど」
「気合いだ気合い。あと思い込み。出来るって思ったら出来るからやれ」
「んへぇ〜」
そのまま一時間、ぶっ通しで荒野行動をして、途中休憩という事でひろあきはテーブルの上に置いてあるお茶を一口。
「ぷはぁ。冷た美味い」
「少し手が疲れたな」
「……連続でやってたからなぁ……」
お互いに笑い合って話しているとインターホンが。
りゅうのすけの母が出て、しばらくするとそのインターホンを押した主はりゅうのすけの部屋へと上がってきた。
ドアが開く音と共に頭をドアの方へと向けて呆気の顔を取られる。そこに立っていたのはみうだったから。
すぐさまに「なんだよ。何しに来た」とドアを開いた先にいた、みうに問いをぶつけた。
「来ちゃった⭐︎」
「『来ちゃった⭐︎』じゃねーよ。語尾に星つけてんじゃねーぞ」
「やあ、みうちゃん。いらっしゃい」
「ひろあき、それは俺のセリフだろこのヤロー」
「……また男二人でゲーム?」
「悪りぃかよ」
「悪いなんて事は無いけど……もっとする事ないの?」
「ねぇーよ。今んとこは」
「まあまあ。あ、みうちゃんもやる? 荒野行動。三人でやったら楽しくなると思うよ」
「……うん、やる」
「……ったく」
まるで昔に戻ったかのように、三人は顔を合わせて楽しそうにゲームを始めた。ただゲームをしているだけだというのに、こんなにも楽しいなんて。そう思いながらも誰もそれを口に出さないままゲームを続ける。
ああ、なんとも心地良い時間だ。
三人は黙って、ゲームをしながら、その思いを3人でシンクロさせる。
ゲームをしながら過ぎ去る時は本当に一瞬だった。気が付いたらひろあきも十五キルなんてあっという間に突破していて、テーブルの上に置かれたお茶も、もう既に無くなっていた。
まだまだ時間が許す限り、三人はゲームを続けた。もうすぐで打ち上がるひろあきの花火を三人で観に行こう、と話をしながら。