アングレカム-Angraecum Leonis-
第二十三話花火大会二日目の昼〈恋する乙女〉
スマホをタプタプ触りながら、ソファに座るなおは、横に置いてあったクッションに手を伸ばし、自分の前に持って来る。
クッションに顎を乗せて昨日の出来事を振り返ってショートする頭を抱えながら、目の前に何も無いのに、何かを睨みつけるような目をしながら、どうしようどうしようと、ジタバタする。
(な、何が好きなんです、だ! コラ! 私、何やってんだよ〜……完全にその場の雰囲気とかに持ってかれち待ってんじゃん……。答えを待ってくれってさー、完全にどう振ろうか迷ってるやつやん……!! あぁ、とりあえず傷つかないように心構えだけしとかないと……)
スマホから、ピコンと通知音が鳴り、恐る恐るスマホを覗く。
かずきからのLINEだった。
『今日花火大会行くよね?』
(もぁー!! 行くに決まってんだろ!! 自作のデザイン花火が打ち上がんだぜ!? アンタと会う予定が無くても行くよ!!)
『少し二人で話せないかな』
(はい、キター。振られるフラグキター。はいはい、分かりましたよ。所詮私は幸せにはならんのですよ。分かってましたよ)
『LINEで答えを出すのもなって思って、直接想いを話したいと思って……』
「……!?」
なおは、静かにLINEを打ちながら、キーボードをタプタプと触りながら、「はい、分かりました」と送り、またソファの上でドタバタはしゃぎ始める。
(え? え? え? あ、え、こ、この感じは……え!? この感じは? 期待しても……いいんですか……ね?)
強くクッションを抱き締めながら、赤面する顔をクッションに押し付ける。
はぁ、と溜息を吐きながら真っ黒な画面のスマホを見つめる。
(…………こんなの……私じゃなくても期待しちゃうよ…………)
たった十五分。その十五分が四十五分くらいに感じられたそんな時間。
片手で持っていたスマホがピコンと通知音を鳴らす。かずきからの返事が来たのかと思い、LINEを開くと、ひろあきからだった。
『今日の花火、楽しみだね』
「てめえかよ!! やかましいわ!! …………いや、うん。楽しみだけど……楽しみ……だね…………」
冷蔵庫からお茶を持って来て、それをコップに注ぐ。コップに一杯注ぎ終えると共にLINEの通知音がスマホから鳴り響く。
恐る恐る内容を確認すると、そこには『なら、今日、昨日皆で集合した公園から少し離れたとこにある喫茶店の近くで集まろう』と、かずきからの返信が。
(…………ッッ!!)
なおは再度ソファの上でクッションを抱き締めながら悶え苦しんだ。
後数時間、生きていられるだろうか。
そんな事を考えながら、ぐるぐる回る思考回路をなんとかしようと、一先ず何かしらの動画を観ようとYouTubeを開いた。
(……期待していない自分と、してる自分が居て……矛盾してんのにな……どっちも居るんだよ……。でも結局どうしたらいいのか、自分の中でも分かんないだよな……。でも、どっちかって言うと……悪い方向にばかり物事を考えてしまう…………うぅ……傷付くのが怖いよ…………)
観ることに集中出来ない、いや、観ていないのかも知れないYouTubeの動画に顔を向けながらなおは静かに泣いた……。