野いちご源氏物語 五二 蜻蛉(かげろう)
翌朝、(かおる)(きみ)六条(ろくじょう)(いん)参上(さんじょう)なさる。
匂宮(におうのみや)様も中宮(ちゅうぐう)様のところにお越しになっていた。
夏らしいお着物を優雅に着ていらっしゃるわ。
姉君(あねぎみ)(おんな)(いち)(みや)様にも負けないほどお美しい。
浮舟(うきふね)(きみ)のことがあって少しお顔がやせてしまわれたけれど、それが(すず)しげな魅力(みりょく)になっている。

<さすが同じ母君(ははぎみ)からお生まれになったご姉弟(きょうだい)だ。よく似ていらっしゃる>
薫の君はつい女一の宮様を思い出してしまわれる。
<いけない。あまりに恐れ多い恋心だ>
お心を落ち着かせようとなさるけれど、女一の宮様のお姿を拝見してしまわれたのだもの。
なんとなく(あこが)れていらっしゃったときよりも、ずっとお苦しい。
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