この恋、予定外。
「……森川」

名前を呼ばれる。画面から目を動かさないようにして、返事を返す。

「はい」

「それ、優先順位が逆じゃないか」

身を乗り出した高橋さんに画面を指される。

「先にこっち詰めないと。じゃないと、後ろが全部詰まる」

「あ…ほんとだ…」

言われて気づく。完全に順番を間違えていた。もう、私の集中力も限界なのかもしれない。
思わずため息を漏らすと、高橋さんはそのまま自分のパソコンを持ってきて、隣に座った。

「森川。こっちにも回せ」

「え?」

「時間、足りてないだろ。手伝う」

当たり前みたいに言われて、一瞬だけ固まるけど、それと同時に湧き上がる安心感。
ひとりじゃない。

「…お願いします」

素直にうなずいた。


そこからは、ほとんど会話はなかった。

キーボードの音だけが並ぶ。
高橋さんの方が当たり前に速くて、迷いがなくて、私はそれに合わせるみたいに手を動かす。でもまったく追いつけない。

先へ行く彼に、置いていかれないように手を動かすだけで精一杯だった。


ズレていたものが、少しずつ整っていく。
それでも、胸の奥のざらつきは消えない。


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