この恋、予定外。
指が無意識に止まる。

ほんの一瞬のことだけど、また動かそうと思っているのに、そのまま動かなくなってしまった。


「……これ」

声が出る。思ったよりも弱い声で。

「間に合わなかったらどうしよう」

言った瞬間、自分で驚く。


─────やばい、なに言ってるの。

すぐに取り繕おうとして、

「いや、間に合わせますけど」

と言い直したけれど、その後がうまく続かない。


はっきりしていたはずの画面が少しだけぼやける。呼吸が浅くなる。

「…森川」

隣から名前を呼ばれる。
その声は、いつもと同じなのに、少しだけ低く聞こえる。

「いらん心配するな。大丈夫だろ」

短い言葉。根拠なんてない言い方。それなのに、なんでこんなに、胸に刺さるのか。

「だって森川、さっきまで全部回してたじゃん」

ぽつりと続く。やっぱり見てたんだ。

「できるやつが、できないまま終わること、ないだろ」

その言い方は、励ますでもなく、ただ事実を置いてくるみたいで。


その瞬間、張っていたものが少しだけ緩む。


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