この恋、予定外。
ふとネガティブに引っ張られそうになった時。

「……まだやってんの」


背後から突然落ちてきた声に、一瞬だけ心臓が跳ねる。
でも振り返る前に分かる、この声。


「まだやってますよ」

できるだけ平静に返して振り向くと、高橋さんが立っていた。
いつも通りの顔で、いつも通りの距離で、まるで何も知らないみたいにそこにいる。

「帰らないの?」

「帰れないんです」

少しだけ硬くなった言い方に、自分でも気づく。

高橋さんはそれ以上なにも言わずに私のパソコンの画面を覗き込んで、少しだけ目を細めた。

「…03番か」

一言で当てに来た。

「もしかして、見てましたか?」

思わず聞くと「いや」と短く返してから、ほんの少しだけ間を置いて、

「営業、今日は夕方くらいからずっと騒がしかったから」

と、それだけ。


軽い言い方。
でも、見ていたのは分かる。

私は一瞬だけ視線を逸らして、それからまた画面に戻る。

「間に合わせるんです」

誰に言うでもなく、口から出る。

「間に合わせないと、棚が飛じゃうんで」

指を動かしながら言うけど、さっきより少しだけ反応が遅い。

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