この恋、予定外。
••┈┈┈┈••

一件目は、駅前のドラッグストア。

自動ドアが開くと、明るい照明と整然とした棚が目に入る。通路は広く、商品は価格帯ごとにきっちりと分けられていた。

「こんにちは!朝比奈の森川です」


声をかけると、レジ奥にいた店長がこちらを見て、軽く手を上げた。顔なじみの、いつものやり取りだ。

「どうも。今日は開発さんも一緒?」

「はい。試作のフィードバックも含めて」

簡単に言葉を交わしながら、私は売り場へ視線を向けた。
あちらも、高橋さんがいることに驚いていない。そこにいることに、慣れている。


テスターの減り方。棚の埋まり具合。手に取られた形跡。
いつも通りの順番で、ひとつずつ確認していく。


店長さんがこちらへ来てくれたのを確認して、気になったことを口にする。

「このゾーン、やっぱり千三百円帯が動いてますね」

「そうそう、そこは安定してる」

話しながら、メモを取る。

視線を少しずらすと、気になる一角があった。
テスターを手に取った瞬間、試作08のボトルが、ふと頭をよぎる。
比べるつもりはないのに、いつの間にか基準にしてしまっている自分に気づいて、私はそのまま視線を戻した。


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