この恋、予定外。
短い言葉で、思考が一本にまとまる。
私は小さくつぶやくように言ってしまった。

「私、たぶん引っかかるタイプです」

自分でも少し意外なことを口にしている自覚はあった。

「“某デパコス級”って書いてあると、…正直、気になりますし」

一瞬だけ視線が合う。彼はちょっと驚いたような目をしていた。
たぶん私はそこそここだわりを持ってメイクをしていると思っていたのだろう。

「え、買うのか?」

「…たまに、です」

否定しきれずに答えると、わずかに間が空いた。
ふっと隣でかすかに笑ったような気配がした。

「まあ、そういうもんだろ」

そこで終わるかと思ったのに、

「最初から“それでいい”って思って買ってるだろうし」

続いた言葉に、私は顔を上げる。

「それでいい、ってことですか?」

「同じじゃなくていい。そこまで求めてない層もいる。特に、学生とかな」

押しつけるでもなく、ただ事実として置かれる言葉。
私は手元の商品をもう一度見た。

「─────それ、分かります」

口に出してから、すとんと落ちる。

「これで十分、って思えた時点で、選択肢に入りますもんね」

「そうだな」

それだけ。
会話は途切れる。


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