この恋、予定外。
••┈┈┈┈••

カウンターだけの、小さなラーメン屋だった。
お店に入る直前、高橋さんがなんとなく一瞬立ち止まったけれど、すぐに暖簾をくぐった。


お店は半分くらい席が埋まっていたけれど、すぐに座れた。

「チャーシューメン大盛り、餃子、ライス」

迷いのない注文に、私は思わず横を見る。

「…多くないですか?」

「普通だろ」

「普通じゃないです」

そう言いながら、私はメニューに視線を落とした。

「えっとー、じゃあ味噌ラーメン大盛りで!」

そこまで言って、つけ加える。

「…あ、やっぱり私も餃子ください」


中年男性の店主が「はいよ!」と元気な返事をくれた。
一人で経営している、知る人ぞ知る、みたいなラーメン屋。雰囲気があって、なんだかわくわくした。


隣の席で、一瞬だけ。ほんの一瞬だけ、高橋さんの視線が止まった。

「森川、そんなに食えんの?」

「食べます。ぺっこぺこなんで」

きっぱり言い切る。そのあと、少しだけ笑われた。

「残すなよ。食ってやらねーからな」

「残しません!」

なぜか張り合ってしまうけれど、彼とのこのテンポがなぶん私たちの温度だ。


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