この恋、予定外。
そうしているうちに、ラーメンの湯気が上がる。

「チャーシュー麺と味噌ラーメン、大盛りね」

店主からそう言われ、カウンターにラーメンを置かれた。急いで二人分を受け取る。
熱々で、そしてめちゃくちゃ美味しそう。また、ぐぅ、とお腹が鳴った。

「ほら、できた」

パレットをぽいっと返される。
中を確認すると、いびつだけどちゃんと型に戻っていた。粉々になっていた数分前の姿ではない。

「…ありがとうございます」

「食べよ」

もう高橋さんの興味はラーメンに移っている。箸を割っていた。
ラーメンの湯気が上がって、視界が少しだけ曇る。

続いて餃子と、彼にはライスも来た。

「いただきまーす!ほら、高橋さんも!」

「え?」

私が箸を割った時には、彼はもうラーメンを食べ始めていた。麺をすすっている。
ドンッと横をどつく。

「ちゃんと“いただきます”ですよ!フライングだめ!」

「…いただいてます」

仕方なさそうなそれを、初めて聞いた。あはは、と吹き出してしまった。

早速、ひと口。
熱いけど、味噌の香りが一気に広がる。麺の太さもちょうどいい。

「…美味しい!」

疲れが吹き飛ぶ美味しさ。染み渡る。
食い気味に餃子も口に詰め込んだ。

「たかはひはん!ぎょーはほおいひいでふ!」

「おい、ちゃんと飲み込めんでから話せよ」

「たかはしさん、ぎょうざもおいしいです!です!」

横を見たら、高橋さんが私の顔を見ていた。
たぶん、パンパンに口の中にため込んでいる顔があまりにも面白かったのだろう。

「森川ってほんと、ズレてんな」

当たり前みたいに、隣で笑う。
それだけで、空気が柔らかくなる。

ただ、単純に嬉しくなった。


< 124 / 180 >

この作品をシェア

pagetop