この恋、予定外。
「高橋さん、遅いですね」

また後ろに下がってしまった彼の方を振り返って、だいぶつらそうな姿に吹き出す。

「ちゃんとついてきてくださいよ」

「森川、速すぎ」

「違いますって。一緒に走るなら、合わせるのが基本です」

言いながら、ふと引っかかる。
……あれ。
このやり取り、どこかで。
一瞬だけよぎって、でもつかむ前に流れていく。

もう一段、速度を緩めて彼に合わせた。

肩で息をし始めた彼がぼそっと呼吸の合間につぶやく。

「…ほんと速いな」

「元々やってたんで!」

「……ああ」

それ以上は聞いてこない。でも、ちらりと視線を感じる。
少しずつ、私はさらに速度を緩める。
こんなに余裕のない高橋さんを、初めて見た。


そのまま少しだけ走って、どちらからともなく速度を落としていく。


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