この恋、予定外。
そこまで言って、悩んでしまって言葉を探す。うまい言葉が見つからない。語彙力が試される。

「えっと……なんていうんだろう」

ほんの一瞬の間。すぐに高橋さんがふっと笑った。おそらく、私の言いたいことが分かったらしい。

「皮脂と混ざってるだけなんじゃないか」

「あ、それです!」

思わず即答する。

「浮くんじゃなくて、なじんでる感じです」

「なら問題ないな」

さっきまで笑っていたのに、もう淡々とした声。
でも、ちゃんと聞いてくれているのが分かる。

「カバー力は、そこそこです」

「あー、それな。落とした」

「え?」

勢いよく顔を上げる。その先で、彼はなんてことない顔で続けた。

「08で寄せすぎて崩れた。だから処方を変えたんだ」

「……08、そうだったんですね」

「森川、試してないだろ」

「だから、渡されてないんですって」

「悪かったよ─────。でも、結果的に09の方がバランスいいだろ?」


あっさり言い切られて、その自信の持ちように反発する方法も言葉も持ち合わせていない私は、もううなずくしかなかった。
こういう時は、彼に一歩リードされてしまう。


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