この恋、予定外。
「今、時間あるか?」

不意に尋ねられた言葉に、思考が戻る。

「え?」

「今。少しでいい」

視線は変わらない。声も、いつも通り。
なのに。

「…あります」

返事をしたあと、ほんの少しだけ胸の奥が軽くなる。
理由は分からない。

「じゃあ、ちょっと」

それだけ言って、高橋さんは先に歩き出す。
振り返りもしない。
“ついてこい”ってことなんだろうけど。


…雑だな、と思う。

でもそんな雑さも、ぶっきらぼうな物言いも、すっかり慣れたし、なんなら心地いい。
これが急に優しくなったら、たぶん困る。


そっとパソコンを閉じると立ち上がって、私はその背中を追いかけた。
距離は、すぐに詰まる。

ちょうど半歩後ろ。
並ぶでもなく、離れるでもなく。

その位置が、なぜかしっくりくるのが、なんだか悔しかった。




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