この恋、予定外。
「これ」

高橋さんにポンと、軽く差し出されて反射的に受け取る。

手の中に収まるサイズの小さいボトル。
軽いはずなのに、妙に存在感がある。

「09ベース。油剤の比率だけ変えてる」

あまりにも普通に言われて、えっ!とそのボトルを握りしめた。

「もう!?そこを触ったんですか?」

昨日の今日でそこまで行くのか、という驚きがそのまま声に出た。

「うん。朝の感触、悪くなかったみたいだから」

その一言が、少しだけ遅れて胸に落ちる。
私の声が評価された、というのも嬉しかったけれど、そっちよりちゃんと見て、次に繋げている、という事実の方が強く残る。


高橋さんは私の手の中にあるボトルをちらりと見た。

「それ、手に出して触ってみてほしい」

珍しくしっかり“頼んでくる”言葉に、「は、はい」と戸惑いつつもうなずく。

視線を感じながらキャップを開けた。
中身は見た目にはほとんど変わらない。
09と同じ、なめらかな質感。


それでも、指先に取った瞬間に、わずかな違いが分かった。
手の甲に少量出して、ゆっくりと伸ばす。

─────重い。ほんの少しだけ。
でも確実に、昨日の09よりも指に引っかかる感触がある。
そのまま手の甲になじませていくと、さっき感じた重さが、途中でふっと軽くなる。


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