この恋、予定外。
「……えっ、すごい!」

思わず声が漏れた。

最初の抵抗はあるのに、広げきったあとは妙に薄い。
肌の上に残る感じはあるのに、べたつかない。
指先で軽く叩くと、なじみが一段早い気がした。

「どう?」

すぐ横から声が落ちてくる。

近い。
さっきよりも、距離が近いのに、避ける理由もなくて、そのまま視線だけを手元に落とした。

「最初、ちょっと重いなって思ったんですけど。…広げたあとすごく軽くなります!」

言葉を選びながら、もう一度指でなぞる。

「09より、密着感あるかもです。カバーは…」

少しだけ角度を変えて、光の当たり方を見る。彼も同じように私に並んで視線を向けた。

「若干上がってます。でも、厚くは見えない」

言いながら、自分でも驚くくらい自然に言葉が出ていることに気づく。
考えるより先に、口が動いている。

「崩れ方、昨日のとは変わりそうですね」

ぽつりと付け足すと、すぐ隣で「そうだな」と短く返ってきた。
その声が、少しだけ近くで響く。

意識しないようにしても、どうしても気になる距離。

それでも手は止めない。
指先でなじませた部分を、もう一度軽く押さえる。さっきよりも、少しだけ肌に吸いつく感じがある。

「…これ」
思わず顔を上げると、ほぼ同じタイミングで視線が合った。
一瞬だけ、間ができる。
彼の怪訝そうな表情がよく見えた。

「……なんだよ」

「いや、あの」


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