この恋、予定外。
それなのに─────なんか嫌だ。

言葉にしようとしていないはずの何かが、喉の奥に引っかかる。

理由は分かっている。
分かっているのに、さっきからずっと、見ないふりをしていた。
普通に話して、普通に評価して、普通に終わる。
それでいいと思ったはずなのに。思っていたのに。

自分の気持ちに、嘘はつけない。


「…あの」

気づいたら、声が出ていた。
自分でも驚くくらい、自然に。


高橋さんが、不思議そうにわずかに顔を向ける。

おそらく彼は目の前にあるファンデーションの完成へ向けて集中しようとしていたはずだ。
それを止める行為がどれだけ迷惑か。

その視線を受けて、ほんの一瞬だけ迷う。
ここでやめれば、なかったことにできる。

そう思ったのに─────

「私が好きって言ったのって、」

言いながら、少しだけ息が詰まる。
言葉を続けるのが、思っていたより難しい。

…だめだ、止められない。

「もしかして、もう終わったことになってますか…」

最後は、少しだけ声が落ちた。


責めるつもりは、もちろんなかった。
ただ、確認したかっただけ。

ちゃんと、そこにあったものとして、彼の中に残っているのか。
それとも、本当に、終わったことになっているのか。

その違いだけが、どうしても気になった。



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