この恋、予定外。
吹っ飛ばしたんだろ
パソコンの画面に並んだ資料を、私はゆっくりとスクロールしながら、ひとつひとつの項目をなぞるように目で追っていた。


グラフ、数値、簡潔にまとめたコメント。
どれも昨日まで何度も見直してきたはずなのに、今日に限ってはそれらが妙に“最終形”としての輪郭を持って迫ってくる。

……Last Fit。

試作番号で呼んできたその名前が、今日の会議を境に“商品”として扱われることになるのだと思うと、マウスを動かしていた指先がわずかに止まった。


画面の端に、うっすらと自分の顔が映り込んでいる。

無意識にその表情を確認して、少しだけ口元に力を入れる。
いつも通りに見えるように整えたつもりなのに、どこかだけ、ほんのわずかに緊張が滲んでいる気がした。


「…大丈夫」

小さくこぼれた声は、確認というよりも自分に言い聞かせるためのものだった。
緊張しているのかと問われれば、たぶんしている。
けれどそれは、会議そのものに対するものだけではない。


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