この恋、予定外。
だってさっき、「欲しい」と言ってる人ももういた。
それなのに、まだやるの?

私の顔に、全部書いてあったんだろう。
高橋さんは言い切った。

「売れるのと完成は別」

…ぐうの音も出ない。

「それは分かってますけど、じゅうぶん完成してるように見えて」

試作をきちんと体験した上での言葉だったけど、彼にはどうやら響いてないらしい。
高橋さんは試作ボトルを指先で転がしていた。

心ここに在らず、だ。

「森川だって、いいもの売りたいだろ?」

そう言われ、意外なセリフに私は彼を見る。

「それはもちろん…そうですけど」

「森川の顔、説得力ある」

「…それ褒めてます?」

「褒めてない」

まさかの即答。
褒めてない時点で、“貶され”認定。
口を尖らせて睨むと、高橋さんは落としていた視線をこちらに向けた。

「褒めてないなら、じゃあなんなんですか?」

私の問いかけに、彼は当たり前のように答える。

「観察結果」

…この人、本当に。なんなの。

「人のこと実験動物みたいに言わないでください」

高橋さんはいたって真面目に、真顔で言う。

「じゃあ、俺のサンプル」

「なんでそんなひどいワードばっかり!」

たまりかねて嘆くように声を上げてしまった。


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