この恋、予定外。
彼はここに来てからずっと棚を眺めている。
まるで、そこに照準を合わせているように。

視線をすべらせ、「よし」と私に向き直った。

「売り場で劣化しても崩れない設計にする」

思わぬ言葉に、私は顔を上げる。ただただ、驚きしかない。

「そこまで考えるんですか?」

「当然だろ。求めたのは森川だ」


淡々とした声だったけれど、意味は理解した。
私は少し吹き出してしまった。

「開発って、怖いですねー」

茶化したつもりが、高橋さんは無表情で淡々と返してきた。

「いや、営業の方が怖い」

「なんでですか!?」

「ここに来てから、森川の圧が強い」

「圧ってなんですか!!」

コントみたいなやり取りに、ずっとそばにいた店員さんが楽しそうにお腹を抱えて笑っていた。


そして私は棚の前で、もう一度売り場を見渡した。
こういう場所に、これから作る商品が並ぶ。

そう思うと、少しだけ胸が高鳴った。




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