この恋、予定外。
「最近あんまりデスクいないね」

西野さんがそう言うと、高橋さんは肩をすくめた。

「ご覧の通り、営業に付き合わされてる」

「営業?」

少し驚いた彼女の目がちらっと私を見る。

「あ、営業の子?」

私は慌てて頭を下げた。

「はい!営業の森川です」

「開発の西野です」

にこっと笑ってくれた。
優しい、やわらかい笑顔だった。

「ファンデだったよね。今度、試させて」

西野さんは高橋さんの仕事内容は把握しているらしい。
自然な会話だった。

「まだ試作段階」

高橋さんは短く答える。

「完成したら教えるよ」

「うん。楽しみにしてる」

彼女はそう言って、軽く手を振った。

「じゃ、おつかれ」

それだけ言って、ロビーの出口へ歩いていく。

私はその背中を見ていた。


……すごく普通だ。
普通すぎるくらいに。




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