この恋、予定外。
店長が「あーごめんごめん」と笑う。

「昨日ちょうど切れちゃってさ」

「じゃ、今日入れます?できれば今日中にお願いしたいです」

「午後入れるよ」

私はぺこっと頭を下げた。

「ありがとうございます」


その横で今度は高橋さんは棚の価格タグを見ていた。

「森川」

「はい次は?なんです?どれ?」

もはや名前を呼ばれたらなにかイチャモンをつけられる、くらいの認識になりつつある。
半分やけくそで彼の隣に立った。

私がイラついていることなど、もちろん彼はお構いなしだ。


「ここ、値段かなり強いな」

そう言って彼が指したのは、棚の中央。

「二千五百円くらい」

私が反応するより早く、少し先にいる店長が「そうそう!」と前のめりになった。

「このゾーン強いんだよねぇ」

「…だってさ、森川。このゾーンに入れるなら勝てる設計にしろ」


先を行きすぎる発想に、私は思わず彼を見つめる。

…この人、もう“売り場の中で勝つ前提”で見てる。


店長が私たちを見比べて、大きな声を出して笑った。

「あっはっは!森川さん、いいコンビじゃないか!」

「まだそんなに経ってないです!」

大反論する私の後ろで、まだ高橋さんはなにか気づけるものはないかと売り場をウロウロしているのだった。



< 54 / 180 >

この作品をシェア

pagetop