この恋、予定外。
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駅から少し歩いた場所にある、セレクトショップatelier hue(アトリエ・ヒュー)は、外の喧騒とは切り離されたみたいに静かだった。

ガラス張りのおしゃれな外装。一発で分かる、洗練された雰囲気。
照明は落ち着いていて、棚も余白を残して並んでいる。


商品数は多くないのに、ひとつひとつの存在感が強い。
“置いてあるもの”より、“選ばれているもの”の空間。


中に入ると同時に、石田先輩がお店に合わせた“ちょうどいい温度”の挨拶をする。

「こんにちは」

店内の奥に、女性がいるのが見て取れる。
先輩の挨拶でこちらを向いた。その表情は、たぶんあまり私たちを歓迎していない。

「朝比奈化粧品の営業です。お忙しいと思いますが、少しだけお時間をいただいてもよろしいですか」


石田先輩のその言葉を聞いて、女性がそっとこちらへ出てきた。

年齢は四十前後。
シンプルな服装なのに、どこか洗練されている。
視線が、静かにこちらを測っている。
おそらく、彼女がここの店長。

「…内容によります」

柔らかい声。でも、距離はある。

ピリッとした空気が漂う。
店内にお客さんは数組。丁寧な接客している店員が一人。

先輩もこの空気はじゅうぶん理解した上で、落ち着いた声で女性に話しかける。

「新商品のご提案と、売り場の状況を少し見させていただければと思いまして。石田と申します」

先輩が名刺を差し出すと、女性はそれを受け取る。
一拍置いて、こちらを見た。

「森川と申します」

私は軽く頭を下げた。

「今、あまり新規は入れていないんです」

店長から放たれた、最初の一言。
でも、拒絶ではない。
“理由があれば聞く”という温度。


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