この恋、予定外。
その瞬間、店長が少しだけ目を見開いたのを見逃さなかった。

彼女は小さくうなずいた。

「……たしかに、その通りです」

「あと、こちらは質感もツヤ寄りじゃなくて、セミマット寄りです」

今度は画面を少し引いて見せる。色の種類や、使用前後のページ。

「今の棚のトーンだと、こっちの方が馴染むと思います」

女性は腕を組んだまま、少しだけ考えるように首をかしげていた。

「そちらの商品のパッケージは?」

そう来ると思ったので、私はすぐに指を滑らせて次の画像を出した。

「シンプルです。ロゴも主張しすぎないので、こちらに並べた時に浮きません」

数秒の沈黙が落ちる。

「……なるほど」

小さく、息を吐くように彼女がやっと表情を緩ませた。
強い警戒心が解けた、というのが明確に分かり、指先の力が少しだけ抜けた。

店長はしっかり私の目を見ていた。

「このお店に“足す理由”は、ちゃんとありますね」

そしてちらりと私のバッグを見やった。

「一度、資料いただけますか?検討したいです」

私はすぐにうなずいた。
準備しておいた資料をファイルに入れ、彼女が差し出した手に渡した。

「ありがとうございます。ぜひ、よろしくお願いいたします」



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