この恋、予定外。
「いつ気づいたの?」

私が立ち上がると、びくっと佐野が震えるのが分かり、なだめるように彼女の背中をさすった。
それを合図にするように、彼女がやっと答える。

「さっき、出荷リスト確認してて気づいて」

「出荷、もう動いてる?」

「はい…。一部は、もう」

そこで、私は一度だけ深呼吸を挟んだ。


怒る理由はいくらでもある。
でも、今それをやる意味はない。時間がないからだ。

「分かった」

短く言って、また椅子に座る。

「在庫は?まだある?」

「倉庫にはあります」

「じゃあまだ間に合うよ」

自分に言い聞かせるみたいに、少しだけ早口になった。

「出荷、止められる分は止めて。追加で03番、今日中に回せるか確認する」

「はい…!」


佐野が慌てて動き出す。
その背中を一瞬だけ見てから、私は自分のパソコンに向き直った。


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