この恋、予定外。
データを開いて、スケジュールを確認する。

出荷時間、配送ルート、到着予定。
頭の中で、組み直していく。
間に合わせるための順番を、シミュレーションする。

─────できる。
まだ、できるはずだと、思う。


「森川さん、すみません、本当に…」

「いいから」

たぶん、私にもう一度謝りに戻ってきたのだろう。
さっき動き出したはずの佐野がまたそこにいたので、申し訳ないけれど言葉を遮った。

振り返らないまま、キーボードを打つ。

「謝るのあとにしよ。今は手を動かして」

少しだけ間があって、

「…はい」

小さな声が返ってきた。


彼女も自分のデスクに戻り、私の指示通りに動き始めた。その音を背中で聞きながら、私は画面を見つめる。

指は動いている。
頭も回っている。
ちゃんと、仕事はできている。
大丈夫、と言い聞かせる。


だけど、胸の奥にひとつだけ、拭いきれない不安が残る。

この案件は、今日中に整えないといけない。
明日の朝には、店に入る。

─────もし、ここで間に合わなかったら。

棚は作れない。
場所を取られるかもしれない。
次は、ないかもしれない。


キーボードを打つ手が、一瞬だけ止まる。

…だめだ、こんな時こそ、ポジティブに!

すぐに指を動かす。


考えるのはあとでいい。今は、とにかく戻す。それだけに集中すればいい。

大丈夫。まだ、間に合う。
そう思い込むように、私は画面に視線を落とした。




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