この恋、予定外。
••┈┈┈┈••


フロアの空気は、いつの間にかひと段落したあとの静けさに変わっていた。

だけど、こちらはまったくひと段落もなにもしていない。
さっきまで当たり前のように混ざっていた電話の声も減って、キーボードの音だけがぽつぽつと残る。


「森川さん」

佐野に呼ばれて顔を上げる。しかし、そこからなにも聞こえない。

私は立ち上がって向こう側の佐野のデスクへまわり込む。


彼女は自分のデスクにいたけれど、まったく動いていなかった。

タブレットを持ったまま画面を見ているのに、視線が合っていない。さっきから少しずつ様子がおかしかったけれど、ここで完全に止まった、と思った。

「…大丈夫?」

できるだけいつも通りの声で聞くと、ほんの一瞬の間のあとに、震える声が耳に届いた。

「…すみません」

また、それだった。

責任を感じているに違いない。
謝って済むのなら、私だっていくらでも謝る。でも、それは今じゃない。謝って終わりではないのだから。


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