赫い滴と湿った吐息
第一話:微睡みの残滓と冷めた肌 3
「……お金、それだけが繋がりか」
男の低い声が、静まり返った部屋の重い空気の層を、鋭利な刃物のように切り裂く。
鼻腔を支配するのは、微かに漂う精液の生臭さと、古びた壁紙から染み出す湿気の匂い。
視界に映る少女の背筋は、月の光を浴びて、拒絶の意志を示すように硬く強張っていた。
「そうだよ、それ以外に何があるの?」
彼女が振り向くと、乱れた前髪の間から、鋭い殺意を孕んだ瞳が男の射止める。
耳朶を打つのは、彼女が乱暴に立ち上がった際に鳴った、ベッドのスプリングの悲鳴。
舌先に残る安物の歯磨き粉の粉っぽさが、男の口内を、不快な渇きで満たしていった。
「……なら、その金に見合うだけの絶望を、私に見せてみろ」
男の掌が、彼女の細い首筋を後ろから掴み、硬い指先で脊椎の突起を強引に圧迫する。
触れ合う肌から伝わるのは、獲物を前にした獣のような、熱く、狂おしいまでの拍動。
視覚を奪うほどの毒々しいネオンの赤が、彼女の歪んだ表情を、残酷に浮き彫りにした。
「あ、ぅ……っ、おじさん、何……っ」
少女の喉から絞り出された掠れ声が、壁に跳ね返り、湿った熱を帯びて男の鼓膜を叩く。
掌に伝わる彼女の皮膚の滑らかさは、今や恐怖に震え、冷たい汗の粘り気を帯びていた。
遠くで、始発を待つ電車の試運転の音が、地を這うような重低音となって床を震わせる。
「……大学も、未来も捨てたお前に、相応しい夜を与えてやる」
男の手が彼女を再びベッドへ押し倒すと、シーツがバサリと大きく翼を広げる音がした。
溢れ出す支配欲が、男の理性を黒く塗り潰し、彼女の深淵を暴くための火を点す。
静寂を切り裂く重い衣擦れの音が、第二の蹂躙の幕開けを、冷酷に告げていた。
男の低い声が、静まり返った部屋の重い空気の層を、鋭利な刃物のように切り裂く。
鼻腔を支配するのは、微かに漂う精液の生臭さと、古びた壁紙から染み出す湿気の匂い。
視界に映る少女の背筋は、月の光を浴びて、拒絶の意志を示すように硬く強張っていた。
「そうだよ、それ以外に何があるの?」
彼女が振り向くと、乱れた前髪の間から、鋭い殺意を孕んだ瞳が男の射止める。
耳朶を打つのは、彼女が乱暴に立ち上がった際に鳴った、ベッドのスプリングの悲鳴。
舌先に残る安物の歯磨き粉の粉っぽさが、男の口内を、不快な渇きで満たしていった。
「……なら、その金に見合うだけの絶望を、私に見せてみろ」
男の掌が、彼女の細い首筋を後ろから掴み、硬い指先で脊椎の突起を強引に圧迫する。
触れ合う肌から伝わるのは、獲物を前にした獣のような、熱く、狂おしいまでの拍動。
視覚を奪うほどの毒々しいネオンの赤が、彼女の歪んだ表情を、残酷に浮き彫りにした。
「あ、ぅ……っ、おじさん、何……っ」
少女の喉から絞り出された掠れ声が、壁に跳ね返り、湿った熱を帯びて男の鼓膜を叩く。
掌に伝わる彼女の皮膚の滑らかさは、今や恐怖に震え、冷たい汗の粘り気を帯びていた。
遠くで、始発を待つ電車の試運転の音が、地を這うような重低音となって床を震わせる。
「……大学も、未来も捨てたお前に、相応しい夜を与えてやる」
男の手が彼女を再びベッドへ押し倒すと、シーツがバサリと大きく翼を広げる音がした。
溢れ出す支配欲が、男の理性を黒く塗り潰し、彼女の深淵を暴くための火を点す。
静寂を切り裂く重い衣擦れの音が、第二の蹂躙の幕開けを、冷酷に告げていた。