赫い滴と湿った吐息

第三話:ベッドでの対峙、侵食される聖域 3

​「あ、あぁ……っ! あ、ぐ……ぅ」

少女の喉を震わせる絶叫が、密閉された室内の空気を、暴力的なまでの熱量で引き裂く。

鼻腔を支配するのは、弾け飛んだ蜜の芳香と、焦げ付くような男の重い体臭の混じり。

視界に映る天井の白濁した光は、快楽の渦に呑み込まれ、万華鏡のように歪んでいく。

​「壊れるまで、刻み込んであげますよ」

男の太い逸物が、最も熱を帯びた粘膜のひだを、執拗なまでの速さで抉り抜く。

耳朶を打つのは、粘膜が激しく叩きつけられる、ぐちりという重く濁った衝突音。

舌先に残る彼女の脂の甘みが、男の理性を、火に投げ込まれた羽毛のように焼き尽くした。

​「い、く……あ、ああぁぁっ!」

背中を弓なりに反らせ、少女の指先が男の背を、血を滲ませるほど深く掻き毟る。

窓を打つ遠い車の走行音が、二人の荒い呼気と混ざり合い、重い不協和音を奏でた。

触れ合う接点から沸き立つ火花が、彼女の脳内を、眩いほどの純白で塗り潰していく。

​「逃がさない……最後の一滴まで、私のものだ」

男の低い声が、絶頂の最中に放り込まれた少女の、鼓動を無理やり奪い去る。

逸物に伝わるのは、痙攣を繰り返しながら、必死に侵入者を締め上げる肉の熱。

暗闇の中、重なり合う影が激しく震え、獣の咆哮のような衣擦れが静寂を殺した。

​溢れ出した愛液の熱い奔流が、シーツに巨大な闇を広げ、床に一滴、滴り落ちる。

二人の肉体は泥のように溶け合い、底なしの眠りへと沈んでいく。

冷房の乾いた風だけが、汗ばんだ二人の肌を、残酷なまでの静けさで撫で続けた。
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