刻(とき)の断罪 ―真紅の絆―
病院へ運び込まれた美浜大慈は、止まらない出血に抗うこともできず、その日のうちに息を引き取った。強欲に塗れた男の最期は、驚くほど呆気ないものだった。

妻であった美弥子は、迷うことなく相続を放棄した。大慈が積み上げた汚れた富も、美浜の名も、彼女には一切必要なかった。正式に離婚が成立し、旧姓に戻った彼女は、翔の計らいで海外にある月永グループの関連施設へと身を寄せることになった。
「翔さん、私…あなたのおかげで、ようやく息ができる気がします」

出国の日、美弥子の頬に残る痣は薄らぎ、その瞳にはかつてない晴れやかさが宿っていた。翔は彼女に専属のカウンセラーをつけ、心のケアを約束した。
「いつでも力を貸します」
笑顔で旅立つ彼女を見送りながら、翔の視線はすでに次の「獲物」へと注がれていた。

十五年前、兄を陥れ、今や不動産業界で汚れた成功を収めている男――田之上京太郎。
彼は美晴と結婚し、俊太という高校生の息子を持っていた。
業績こそ上げているが、その裏側は枕営業を仕掛けるキャバ嬢を金で買い叩くなど、女癖の悪さで塗り固められていた。翔はその醜聞のすべてを冷徹に調べ上げていた。
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