刻(とき)の断罪 ―真紅の絆―
翔は、京太郎がキャバ嬢とホテルへ入る決定的な証拠を写真に収めていた。だが、これを美晴に突きつけて家庭を壊すだけでは、復讐としてはあまりに退屈だ。
(京太郎……お前自身が、自分の欲望で破滅していく姿を見せてやる)

夜。キャバクラの帰りに、一人で馴染みのバーに立ち寄った京太郎。カウンターで酒を煽る彼の背後から、一人の女性が音もなく現れた。
深いスリットの入った深紅のタイトドレス。艶やかな黒髪のウィッグをなびかせ、完璧なメイクを施したその姿は、ラウンジ中の視線を釘付けにするほどの絶世の美女だった。

ふいになびいた香水の香りに、京太郎が振り返る。
「……!」
グラスを持つ手が止まり、京太郎は息を呑んだ。今まで数多の女を金で買ってきた彼でさえ、見たこともないほどの気高く、危うい美しさを放つその女性。
「…お一人ですか?」
翔――女の姿をした死神が、艶やかに微笑んだ。京太郎はその微笑が、自らの首にかけられた死の縄であるとも知らず、その瞳に吸い込まれていった。
< 12 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop