刻(とき)の断罪 ―真紅の絆―
深紅のタイトドレスを纏い、艶やかなウィッグの黒髪をなびかせた翔がバーのカウンターに座った瞬間、店内の空気は一変した。カクテルを注文するその滑らかな指先、グラスを傾ける横顔の端正さに、熟練のバーテンダーさえも息を呑み、手元を狂わせそうになる。

京太郎は、獲物を見つけた獣のような目を向けながらも、その圧倒的な美しさに気圧され、緊張した面持ちで隣に歩み寄った。
「お一人ですか? こんなに美しい方が、なぜ」
翔は、いつもの冷徹な副社長の顔を完全に消し去り、儚げでしおらしい「謎の美女」を演じてみせた。
「…少し、寂しくて。誰かと話したかっただけなんです」
潤んだ瞳で見つめられ、京太郎の欲望は一気に加速する。彼はこの絶世の美女を独占したいという衝動に駆られ、ある晩、ついに彼女をホテルへと誘った。
(…いいだろう。スキャンダルをでっち上げ、奈落へ突き落とすには絶好の舞台だ)
翔は内心で冷笑を浮かべながら、その誘いに乗った。
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