刻(とき)の断罪 ―真紅の絆―

手際よく注文して、奏が翔にアイスクリームを渡した。
「どうぞ、ここのアイスとっても美味しいですよ。僕、とっても気に入っています」
「あ・有難うございます…」

少しぎこちない手でアイスクリームを受け取った翔。

「ちょっと、座りませんか?」

近くにあるベンチに奏と翔は座った。

座る前に、奏が翔が座る場所にハンカチを強いてくれた。
「どうぞ」

まるでお姫様でも案内するかのような奏。
「…すみません…」
思わず翔は申し訳なく持った。

2人でベンチに座って、食べるアイスクリーム。

翔はアイスクリームを一口食べると、遠い昔、淳也と一緒に食べたアイスクリームを思い出す。

淳也が大学生の頃。
忙しくて一緒に過ごす時間がまりなかったが、時々、淳也がお土産を持ってきてくれた。

「これ、大学の友達からもらったんだ」

そう言って見せた箱は、アイスくルームが入っている箱だった。

「食べていいよ、いつもごめんな。1人にして」

そう言って箱を開けた淳也。
だが、中に入っていたアイスクリームは二つあった。

「あれ…二つも入っていたのか」
「よかった、これならお兄ちゃんも一緒に食べれるね」

1つだけだと思ったアイスクリームが2つあった事で、一緒に食べた。
甘くてとっても美味しいバニラアイス。

その味は、今、翔が食べているアイスクリームの味にとても似ていた。

「あの…。少しだけ、話を聞いてもらえますか?」
改まって奏が言った。
翔は小さく頷いた。

「実は…探している人がいるのです。…その人は、名前も知りません。…とても綺麗な女性です。悲しそうな目をしていて、一目見て好きになりました。…でも、一晩一緒にいただけでいなくなってしまったのです。…その女性を…どうしても見つけたくて…」

奏の話しから、探している女性が自分の事だと翔はわかった。

まさか‥‥本気だったの?あの言葉は。

(本気で抱いてくれたら、結婚します)
そう言った翔に。
(わかった。覚悟はできている)
奏はそう答えた。
だが、あれは引き止めるために言っただけだと思っていた。
それなのに…。
< 18 / 25 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop