刻(とき)の断罪 ―真紅の絆―
奏は翔の横顔を見ていた。
奏の言葉に、翔は奥歯を噛み締めた。
「私にそんな私事を報告してどうする。…弁護士なら、人探しくらい…簡単だろう…」
「そうですね。ですが、不思議なんです。月永副社長、あなたを見ていると…なぜか胸が高鳴る。昨夜の彼女を見た時と同じ、締め付けられるような感覚がするんです」
奏の一言に、翔は息を呑んだ。
「その人は、僕にはお金のために体を売っていると言いました。でも、それは違うと思ったのです」
「…ど、どうして?」
「とっても気高い人だと思ったからです。お金に困って、身売りをするような品格には見えませんでした。ただ、とても気になったのが。その人が連れていた相手の男です」
言葉を切った奏は一息つた。
「…田之上京太郎。あの男は、業界でも有名な女癖の悪さと、汚いやり口で知られています。なぜ、彼女のような人が、あの男と一緒にホテルへ入ろうとしていたのか……。私には、どうしても彼女が自分を犠牲にしているように見えてならないんです」