刻(とき)の断罪 ―真紅の絆―
翔からの融資をいいことに、大慈はさらに増長した。会社の金を使い込み、連日のようにキャバクラへ通い詰めた。深夜、酒臭い息を吐きながら帰宅した大慈を出迎えたのは、妻の美弥子だった。
彼女はかつて社長令嬢だったが、両親の死後、会社を乗っ取った大慈に「所有物」として虐げられていた。
「…あなた、少し飲みすぎだわ。会社のお金も心配だし……」
美弥子が控えめに進言した瞬間、大慈の太い腕が彼女の頬を打ち抜いた。
「黙れ! 誰のおかげで飯が食えてると思ってんだ! 稼げない女は奴隷と同じだ!」
床に伏し、震える美弥子。頼れる身寄りもなく、ただ耐え忍ぶだけの日々。そんなある日、大慈は翔から「融資の限界」を突きつけられ、ついに人間としての底を割った。
「こいつを差し出す。好きにしろ。買い取ってくれれば、融資を続けてくれるんだろ?」
大慈は、あざに塗れた美弥子を翔の前に差し出した。翔は震える美弥子を個室へ呼び、その手を包み込んだ。
「もう大丈夫です。あなたは自由だ。シェルターを用意しました。彼とは一切の連絡を断ってください」
「……あ、ありがとうございます……」
美弥子は泣き崩れ、その日を境に大慈の前から姿を消した。