冷徹宰相様の嫁探し
「というわけで、みんなの同情は田舎に行く友だちに集まり、私は同情されませんでした」
王宮の廊下を歩きながら、マレーヌが渋い顔でアルベルトに言うと、アルベルトは、
「何故、同情されること前提なのだ。
王子の嫁というのは、普通、うらやましがられるものなのではないのか?」
と訊いてくる。
「親は喜ぶかもしれませんね。
でも、後宮は大変なところと聞きます。
娘が政敵に追い落とされたり、一服盛られたり。
王子に別の寵妃ができて、悲しい思いをしたり、なんてことがあるくらいなら。
娘を大事にしてくれそうな普通の貴族のところに行った方が良い、と思われる親御さんも多いのでは?
娘側からしても、普通の貴族の奥方様でも充分お洒落も娯楽も楽しめますし。
なにより、後宮に入るより、自由がありますからね。
食うに困るような時代ならともかく。
今、後宮に入るメリットはあまりないと思いますね。
我が国は豊かで、貴族たちも富んでますから」
うーむ、とアルベルトは渋い顔をした。
「立派な王家のおかげで、国も貴族たちも裕福に幸せに暮らせているというのに。
そのせいで、まともで控えめな娘たちを、王子の嫁にもらえないとかおかしくないか。
それでは、王子の嫁は野心家の大臣たちが送り込んでくる娘か。
本人がガツガツしているものからしか選べないではないか」
「ガツガツしてはいるけど、そう性格も見た目も悪くない方もいらっしゃるかもしれませんよ」
「……そんなものを探し出すのはお前を無理やり正妃にするより困難だ。
やはり、お前にしよう」
容赦無くアルベルトはそう言ってくる。