冷徹宰相様の嫁探し
「誰とも軋轢(あつれき)を起こさぬよう、上手く立ち回れるうえに、おやさしい。
 そんな王子様だから、みな慕っているのです。

 あなたは、ほんとうに、この国の王にふさわしいお方です」

「……そう言われても、嫁になろうかという女に愛されぬようではなあ」

「私でなくとも、たくさん候補の女性はいるようではないですか」

 次々、大臣たちが娘を連れてきていると聞きましたよ、とマレーヌは言う。

「みな、王子を支える良い妃になられると思いますよ」

 王子は微妙な顔をする。

 エヴァン王子が次の王で間違いないとは思うのだが。

 他にも有能な王子はいるし。

 王は我が子でなくとも、能力があれば、次の王に推しそうな人だ。

 力を持ち、頭が切れる王子の従兄弟たちも大勢いる。

 でも、利発で心優しく、民のことも国の将来のことも、バランスよく考えられるエヴァン王子に王となって欲しいと思っていた。

「君が私の妻となり、支えてくれればよいのに」
と言う王子に、マレーヌは言う。

「あっ、そうだ。
 姉はどうですか?」

 以前も訊いたが、また訊いてみた。

 確か学園では仲がよかったと聞いていたからだ。

 だが、王子は、
「……あれはちょっと」
とまた苦笑いする。

「幼き折から学園で一緒なのだが。
 私はずっと使いっ走りにされていたので」

 姉よ、王子になんてことをっ。

 ざっくり気兼ねない姉のことは好きなのだが……。

 幼なじみとはいえ、王子にも気兼ねなく振る舞うというのはどうなのだろう。

「だから、賢い女ではあるが。
 あれを妻にすると、一生尻に敷かれそうで嫌なのだ……」

 なんかすみません……とマレーヌは姉の代わりに謝った。
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