てのひらは君のため〜クールな年下男子と始める、甘い恋〜
「…………」
 もどかしい思いを抱えて、肩を落とす。

「凄いね、真白ちゃん」
「え?」
 予想だにしない言葉に顔を上げると、葵先輩がにこにこ笑っていた。

「漣里が誰かとまともに話してるところなんて、久しぶりに見たよ。しかも初対面で漣里の表情を動かすなんて、かなりレアだよ?」
「……そうなんですか?」
「うん。漣里は嫌いな相手には近づきすらしないし、普通でも面倒くさがって話すらしない。自分から話しかけるっていうのは、かなり好感度が高い証拠。真白ちゃんのこと気に入ってるみたいだね」

 ……き、気に入られてるの? あの対応で?
 思わず廊下に繋がる扉を見る。
 半信半疑の私に、葵先輩は微笑んだ。

「さっきは『いじめられてた奴のためじゃない』なんて言ってたけど、そんなわけない。いまもその人のために泥を被り続けているのが証拠だ。漣里は他人のために行動できる優しい子だよ。僕の自慢の弟だ。良かったらこれからも漣里と仲良くしてやってね。学年が違うから学校じゃそんなに話す機会はないとは思うんだけど。もし会うことがあれば、気軽に話しかけてあげて」
「はい」
 私は笑顔で頷いた。
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