秘書ですがエリート社長に溺愛されています
けれど視線はまだ私に向けられている。

その視線に耐えられなくて、私は手帳に目を落とした。

すると玲司が、ぽつりと言う。

「無理はするな」

私は思わず顔を上げた。

「社長……?」

「体調を崩されたら困る」

それだけ。それだけなのに、胸の奥が熱くなる。

きっと社長として、部下を気遣っているだけ。

分かっている。

それでも――嬉しくてたまらない。

「ありがとうございます」

私は小さく頭を下げた。

玲司はその様子を少しだけ見てから、視線を外した。

「それと」

「はい?」

玲司は書類を閉じながら言った。

「次の会議が終わったら、少し時間を空けておけ」

「時間、ですか?」

「ああ」

 玲司は静かに言う。

「話がある」

 胸が、また大きく鳴った。
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