秘書ですがエリート社長に溺愛されています
――やめてください。

そんな目で見ないでください。

期待してしまう。

叶うはずもない恋なのに。

私は慌てて視線を落とした。

「次の会議は九時からです」

平静を装って言う。

玲司は少しだけ沈黙した。

それから静かに口を開く。

「……水瀬」

名前を呼ばれ、私は顔を上げた。

「はい?」

玲司は椅子にもたれながら、私を見ていた。

その表情はいつもと変わらない。

クールで、落ち着いている。

それなのに、なぜか胸がざわつく。

「最近、忙しいだろう」

思いがけない言葉だった。

「え?」

「残業が増えている」

私は慌てて首を振る。

「いえ、大丈夫です。秘書の仕事ですから」

「そうか」

玲司は短く答えた。
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