秘書ですがエリート社長に溺愛されています
「お前が他の男のところに行くなんて、考えたくもない」

 胸が大きく鳴る。

「社長……」

 玲司は少しだけ苦い顔をした。

「社長じゃない」

 そして低く言う。

「玲司だ」

 顔が近い。

 息が触れそうな距離。

「俺はずっと我慢してきた」

 玲司の声は、静かだった。

「立場もある。社長と秘書だ。簡単に越えていい線じゃない」

 それでも、と続ける。

「他の男に渡すくらいなら、そんなもの全部どうでもいい」

 真っ直ぐな視線。

「お前は俺のそばにいろ」

 玲司の手が、そっと私の頬に触れた。

 そのまま顔が近づく。

 唇が、触れそうになる。

 あと、ほんの少しで――

 私は息を止めた。
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