秘書ですがエリート社長に溺愛されています
「……終わりました」

資料をまとめて立ち上がる。

玲司はデスクの向こうで書類を見ていたが、ゆっくり顔を上げた。

「もうそんな時間か」

時計を見ると、もう十時を過ぎている。

「社長も今日はここまでにしましょう」

「……そうだな」

玲司は椅子にもたれた。

その視線が、私に向けられる。

静かな社長室。二人きり。

なぜか、空気が変わった気がした。

「水瀬」

低い声。

「はい」

「見合いの件だが」

胸が、どくんと鳴る。

「まだ考えています」

正直に答えると、玲司はゆっくり立ち上がった。

そして、こちらへ歩いてくる。

一歩。また一歩。

距離が近づく。

「……本当に行くつもりか」

「社長」
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