秘書ですがエリート社長に溺愛されています
「……ダメです」

ようやく声を出す。

「ここ、会社です」

 玲司は少しだけ笑った。

「今は誰もいない」

「でも……」

 言葉が続かない。

 玲司の額が、私の額に触れる。

「水瀬」

 低い声。

「もう逃げるな」

その腕が、そっと私を抱き寄せた。

強く、けれど優しく。

その胸に包まれた瞬間――私はもう、何も言えなくなっていた。

「大丈夫か」

 玲司が囁く。

 美咲は小さく頷いた。

「……はい」

「なら遠慮しない」

 そう言うと、玲司は美咲の髪をかきあげ、肩にかかるスーツのジャケットに手をかけた。

 ゆっくりと、ボタンを外していく。

 その動きは急ぐことなく、まるで美咲を確かめるようだった。

 ジャケットが肩から滑り落ちる。
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