秘書ですがエリート社長に溺愛されています
さらっと言う。

信じられない。

「問題あります!」

私は小声で言った。

すると玲司は少しだけ笑う。

「顔が赤い」

「社長のせいです」

その時だった。ドアをノックする音。

「社長、失礼します」

 田中さんだ。

私は慌てて一歩離れた。

 玲司はもう完全に“社長の顔”に戻っている。

「どうぞ」

 低く落ち着いた声。

 田中さんが資料を持って入ってきた。

「こちら、会議資料です」

「ありがとう」

 玲司は何事もなかったように受け取る。

 私は横で立ったまま、内心パニックだった。

 さっきまでキスしていた人と同じ人とは思えない。

 田中さんが出て行く。

 ドアが閉まる。

 私は小さく言った。
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