秘書ですがエリート社長に溺愛されています
「……信じられません」

「何がだ」

 玲司は平然としている。

「さっきまで……」

 言葉が出ない。

 玲司は肩をすくめた。

「仕事とそれ以外は別だ」

 私は思わずため息をつく。

「そんな簡単に切り替えられません」

「慣れろ」

 玲司はそう言った。

「これからもっと増える」

「え?」

「キスだ」

 さらっと言う。

「社長!」

 私は思わず玲司を睨んだ。

 玲司は楽しそうに笑っていた。

夜のオフィスは、昼とはまるで別の場所のように静かだった。

フロアの灯りもほとんど消え、残っているのは社長室の明かりだけ。

私はパソコンの画面から顔を上げて、時計を見た。

 もう九時を過ぎている。
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