秘書ですがエリート社長に溺愛されています
「向こうはもう日程まで考えてるみたい」

 田中さんは苦笑した。

「だから断りづらい雰囲気なのよ」

 私は言葉に詰まる。

 そのときだった。

「水瀬」

 低い声が聞こえた。

 振り向くと、玲司が立っていた。

「社長」

「少しいいか」

「はい」

 私は立ち上がり、社長室へ向かう。

 ドアが閉まると、玲司は腕を組んだ。

「見合いの話」

 いきなりだった。

「断ると言ったな」

「はい」

 私は頷く。

「でも相手の方が乗り気らしくて……」

 玲司の表情が少し変わる。

「そうか」

 静かな声。

 次の瞬間、腕を引かれる。

「社長?」

 玲司は私を引き寄せた。

「なら」

 低く言う。

「断る理由を作ればいい」

「理由?」
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